1排水計画 v1.2.0
エクセルテンプレート
03.11.30 更新
ファイルの概要
 各桝の天端高と桝間距離を入力して、各々の排水管の計画流速と土被りを設定することにより、排水計画(管底高と管勾配、桝深、土被り等)を計算します。また同時に各種数量計算、排水縦断図描画用「縦断Data」、排水縦断グラフ(概要チェック用)を作成します。
 「縦断Data」はVecterWorks8.-以上で「2排水縦断シート」を使って排水縦断図を作成するためのデータです。
 使い方は少し面倒ですが、使えるようになると排水計画の計算・作図が大幅に省力化できると思います。
基本事項 
 ファイル内の表記は以下を標準としています。
  • 青色文字色は入力値(欄)を示しています
  • 緑色文字色は標準で自動計算されるが、適宜入力の必要があれば数値を入力する数値です。
  • 赤色文字色は注意事項、(確認すべき)計算結果を示しています。
  • テンプレートにはサンプルの数値(青色文字)を入力しているので、使用の際にはこの青色文字を消去(カットは不可)または上書きして下さい(緑色文字の計算式は消去しないこと)。
  • 下部タグのうち”in〜”は入力シートを示し“to〜”はデータの利用(ベクターワークスへのコピー)を想定しています。又タグ名の最初の数値は成果品としての印刷出力を想定し、数値はその順を示しています。
  • カーソルや行列のカット&ペースト、挿入、削除は、関連する計算のつながりが失われるので行わないで下さい。また入力値を移動させる場合は、「形式を選択してペースト|値」で行って下さい。
  • 入力の内容に関しては、適宜コメント(カーソル右上三角)を参照して下さい。
  • 計算式のあるセル(主に緑色文字のセル)を書き換えたり、数値を直接入力した場合は、そのセルの文字色か塗り色を変えておくことを薦めます。こうすることにより、その後の修正時に間違いを避けることが出来ます。
使い方
1.基本データの入力
  • 計画している平面図上で、排水ルートに沿って各々桝に通し番号(デフォルトで桝は□No)を付けます。
  • 「1排水計画」“in1”シートの「基本データ」に各管渠の‘管路延長’(桝中心間の距離)と各桝の‘天端高’を図面から読み取って入力します。‘管路延長’および‘天端高’を入力すると自動的にNoが振られます。
    Noを変更する場合は
    薄緑色のNoに直接数値を入力します(この場合、入力行以降のNoが修正されます)。
  • また、前記号や後記号を付ける場合は、2行目の記号右のカーソルに入力します。
2.排水ルートの設定
  • “in2”シート上部の‘桝内段差’‘流速範囲’‘計画水深’‘勾配桁数’‘勾配計算’及び接続方法(「管頂接続」「管底接続」「水位接続」)を確認します。
    ‘流速範囲’は各管渠毎に設定される勾配を逆算するためのもので、‘計画水深(8割水深、10割水深等)’を元に入力された最小流速における勾配及び最大流速における勾配を計算します。
    ‘勾配桁数’は上記の勾配の桁数で、小数点以下の桁数を入力します。
    ‘勾配計算’は、管渠の勾配を管路延長(桝中心間の距離)を分母として計算させる場合は「1」を、管実長を分母として計算させる場合は「2」を入力します。
    ‘副管表示’は“1リスト”及び“to縦断”シート備考欄の副管の表示文字を入力し、その右欄は副管を設置する高さ(流入管と流出管の高低差)を入力します。
    また、‘drop’にはドロップ桝(“形状”シート内で‘桝高’に「-」を入力した桝の場合)の“1リスト”及び“to縦断”シート備考欄の文字列(+桝深と流出管底の高低差)を入力します。
    接続方法は、管頂接続の場合は「1」、水位接続の場合は「2」、管底接続の場合は「3」を入力します。水位接続の場合の水位は計画水深となります。
  • 排水計画の入力は、現況桝の流出管底等特別の場合を除いて、基本的に“in2”シート表左側(白色のカーソルに入力)に、計画するルートの‘桝番号’を入力し、管渠の種類(管種)及び桝の種類(桝種)を選択し、各桝及び管渠の‘土被り’及び‘計画勾配’を入力(確認)して管底高等を計算させます。
    まず“in2”シートの入力表左側(白色のカーソル)に ルートの‘桝番’を入力していきます。例えば「s1桝→s1管→s2桝→s2管→s3桝→s3管→s4桝→s4管→s5桝」のルートを入力する場合は下図のように、‘桝番’に一行ずつ開けて「s1」「s2」「s3」「s4」「s5」と入力し ます。
        
3.排水管・排水桝の選択
  • ‘桝番’を入力したら‘管種’と‘桝種’に「管リスト」及び「桝リスト」から計画する排水施設の‘番号’を選択して入力します。‘管種’を入力すると自動的に‘管番’がふられます。異なる(連続しない)ルートを入力する場合は‘管番’を一行開けて(‘管種’を入力しないで)‘桝番’より始めます。
  • “形状”シートの「管リスト」及び「桝リスト」には、あらかじめいくつかの管渠及び桝を入力していますが、計画に合わせて消去、入力して下さい。このシートで作成したリストを「3排水流量a」シートにリンクして排水流量をチェックすることができますが、これにはの各々の「管リスト」の番号が整合している必要があります。
  • 「管リスト」及び「桝リスト」の内容は、‘in2’シートで管渠・桝を選択する前に、白色セル内の内容を入力しておかないと、正確に計算されません(その他の項目は「リスト」「材料計算」などに参照されるもので、計画後に入力しても問題有りません)。
     「管リスト」は‘管種’の入力に伴い‘厚’‘管径(φ)’‘粗度係数’、
     「桝リスト」は‘‘人孔種別’桝高h’及び‘管掘削長(管実長で勾配を計算する場合)’
  • 「桝リスト」の‘桝高h’にはPC桝または泥だめ桝の場合にその桝高(天端〜流出管底または桝底)を入力します。また‘桝高h’に「-」(半角マイナス)を入力した場合はドロップ桝として計算されます。
      
4.計画土被りの設定
  • 計画している各桝に対しての‘計画土被り’(必要土被り:デフォルトで 0.600)を設定していきます。
    上記リストから(
     :0.600、1:0.200、2:0.450、3:1.200)デフォルト(空白)で一番上の数値を参照し、その他を選択する場合は、対象のオレンジ色のリスト番号を修正します。この場合必要に応じてリストの数値を変更することも出来ます。
       
  • または各行の土被りを直接入力する場合は、緑色の‘計画土被’に直接数値を入力することも出来ます。
  • 各桝の流入・流出管に対しての計画土被りであるため、流入管と流出管の必要とする土被りが異なる場合は、白色セルに流入側の土被りを設定し、流出側の土被りはこの白色セル下部の緑色塗りのセルにリスト番号を入力するか、直接数値を入力します。
5.計画勾配の確認
  • 計画している各管渠に対しての‘計画勾配’を確認します。
    空白の場合は各管渠に対する流速範囲の勾配が表示されます。上記リスト(
    1:0.5〜2.0%、2:1.0〜4.0%、3:1.0〜6.0%、4:1.0〜20.0%)から選択する場合は、ピンク色の番号を修正します。この場合必要に応じてリストの数値を変更することも出来ます。
    また各行の勾配を直接入力する場合は、
    緑色の‘計画勾配(min、max)’に直接数値を入力することも出来ます。
  • 各排水管の‘接続’カーソルに「+(プラス)」を入力しておくと、その上流管の流下能力を下まわらない最低勾配として計算させることが出来ます。また複数の管が合流する場合は(目的の‘桝番’でーオートフィルタをかけ)シート右側の‘流入量の集計’欄に合流してくる他の‘最大流入量’を参照させ計算させます。この場合‘合流の場合の流量への掛け率’も確認してください。
  • また右表の各桝の「h」は、流出管底高を示しています。特に雨水桝の場合は実際の桝深はさらに泥だめの高さ(標準で+150)分深くなります(詳細図等で指示してください)。
  • 数値が入力されると右側の表に管底高や土被り等が計算されます(青色矢印は管渠の流下方向:表示せれていません)。
  • 計算された管底高等は設定した条件をクリアする経済的な管底高ですが、内容を確認して修正の必要がある場合、再度‘計画勾配’及び‘計画土被り’を検討して下さい。それでも目的の数値とならない場合は、右表上部のセル(塗りつぶし)のセルを同列の‘流出管底’等の対象セルにコピーするか、右表の緑色文字の各セルに直接数値を入力(現況桝等)します。
  • 右表‘流出管底’のカーソル上部1行目の水色塗のセルは、桝の深さから流出管底を計算(‘流出管底’=‘地盤高’-‘桝深 h’)するもので、二つのセルを同列にペーストして‘h’に桝の深さを入力します。
    2行目の
    黄色塗のセルは、流入管底から計算(‘流出管底’=流入管‘流入管底’-‘桝内段差’)するもので、同列(‘流出管底’)にペーストします。
    3行目の
    オレンジ塗りのセルは流入先の流入管底高より流出管底を最小勾配で計算(‘流出管底’=流出管‘流入管底’-‘管長’ב計画勾配min’)するもので、同列(‘流出管底’)にペーストします。
  • また既設桝等、流出・流入管底が決まっているものは右表の‘流出管底’‘流入管底’に直接数値を入力します。

6.計画内容の確認
  • 計算された内容に問題がある場合は、左表左端のcheckにその内容が表示されますのでこれを確認します。
    管渠の行(赤色)の
    :は計画土被りが取れていないもの・・・右表に入力した場合
    :は計画勾配が取れていないもの・・・右表に入力した場合
    桝の行(ピンク)の
    ×:は流出管が流入管より低いもの・・・右表に入力した場合
    :は上記の同桝では高さが足りないもの・・・複数管が流入し、現在の設定では深さが足りないもの
    :は「桝リスト」で設定した桝では高さが足りないもの
    - :はドロップ桝を示しています

  • check欄の「深」のものに関しては、現時点で同じ‘桝番’の桝が、異なった‘h’として表示されていて、この内で桝深が足りない(流入管底が低い)ものです。この場合左表‘桝番’右側のオートフィルタを使って対象の桝番号を選択し、同じ桝番号の‘流出管底’を一番深い‘流出管底’に統一(桝深が一番深いセルの流出管底を参照する計算式を入力)します。
  • 複数の管が流入する桝の場合、各々の流入管に対して桝深が計算・表示されますが、“1リスト”“to縦断”等に参照される「桝深 h」及び「流出管底」はこの内の最上段の行の内容を参照します。このため、左表のオートフィルタを使って表示された同一桝の‘h’が異なっていても、最上段のものが一番深ければ問題はありませんが、そうでない場合は‘check’欄に「深」が表示され、最上段のものの‘流出管底’を修正する必要があります。

  • check欄の「桝」のものは、“形状”シートの「桝リスト」で設定された桝(主にPC桝)では深さが足りないもので、「桝リスト」の‘桝高 h’を修正するか、他の桝を選択して下さい。
    また、桝種別と桝深hの関係を確認するには、“3桝計”シートで対象行を‘桝種別’で並べ替えを行うことにより確認することが容易になります。
    例えば、浅い人孔がないかどうか、高さにより種別を変えている桝の場合は、その設定に誤りがないかどうか等を桝種別ごとに確認します。
    問題がある場合は「in2」シートに戻って。その桝Noの桝種別を変更します。

  • 入力(排水計画)が終わったら、正しく計画されているか“Gグラフ”シートを表示して、計画縦断を概観してみて下さい。
    グラフが表示されていない場合は、グラフ左端の目盛りの部分をダブルクリックして「軸の書式設定|目盛」から「最小値」と「最大値」の数値を修正します。

7.図面への反映
  • “1リスト”シートを開くと、左側に「管渠リスト」、右側に「桝リスト」が作成されています(標準で管路は「○」記号No、桝は「□」Noとなっています)これを平面図に貼り付けて排水平面図を作成します。又リスト右側の図面貼り付け文字は、平面で各々に旗揚げする場合の表示の内容を作成しています。必要に応じて内容を修正し、図面に貼り付けて下さい。



  • 平面図(VecterWorks)へ貼り付ける場合は、
    Macの場合は
    リストを貼り付ける場合は、対象となる範囲を選択してコピーし、VecterWorksでペーストすると文字&線データとして取り込めるので、これをグループ化してフォント、サイズ等を調整します。
    貼り付け用の文字の場合は、簡単にコピー&ペーストで貼り付けることが出来ます。
    Windowsの場合は
    同様の操作を行うと絵(ビットマップ)として取り込まれるので、リストの場合はあらかじめ同様のフォーマットのワークシートを作成(サイト内の「AGcom」テンプレートにあらかじめこのフォーマットのワークシートが登録されています)して、このワークシートに張り込みます(Macでもこれは可能)。
    貼り付け用の文字の場合は、対象セルをコピーして、VecterWorksで空のテキストフィールドを作って、この中に貼り付けることが出来ます。

8.排水縦断図の作成
  • VecterWorksを使って排水縦断図を作成する場合は、サイト内から「2排水縦断シート」をダウンロードし、“to縦断”シートの対象行を「2排水縦断シート」の“排水縦断data”ワークシートにコピーして、「←排水縦断」コマンドを実行して排水縦断図を作成することが出来ます。
  • また、作成する排水縦断図のルートを“in2”シートで入力した排水ルートから変更したい場合は、‘管渠’及び‘桝’のナンバーを描画させる縦断図のナンバーに修正して、対象部分を「2排水縦断シート」に取り込みます。
9.計算書の作成
  • “2管計”シートは管渠の延長を集計するシートで、4行目の青色文字に管渠名を入力すると下部に集計が計算されます。
  • “3桝計”シートは桝の合計数と平均Hを計算する表で、対象となる行を桝種別(C列)で並べ替えを行います。
  • “4副管”シートは副管の材料を計算する表で、一行目の‘砕石H’‘coH+’‘桝厚’を入力します。
  • “5築造”シートは管渠の土工量及び材料を計算する表で、“形状”シートの管リスト及び桝リストの掘削長が正しく入力されている必要があります。
  • “&流量”シートは計画された管渠の流下能力を確認するためのもので、降雨強度、安全率を設定し、対象となる管渠の横に面積と流出係数を入力することで計算できます。
  • また「3排水流量a」シートを使って、本シートの“リスト”とリンクして流量の確認を行うことができます。
使用上のご注意
  • 利用に際しては、下記条件に同意された上で使用してください
    1. このファイル(テンプレート)の著作権は「(有)アール・グレイ建築研究室」にあります。他のネットへの転載、商用目的の配布を禁じます。
    2. これらのファイルを使用した損害等には一切の補償に応じられません。致命的なバグの修正、バージョンアップの義務を負いません。
    3. 「BBS」または「問い合わせ」メールでのご意見、ご感想、質問、問題点(計算間違い)等の指摘をお待ちしております。いただいたご意見には、個人的に時間の許す範囲内で対応、修正いたします。
  • ご利用の際には、BBS(落書き用等)にひとことご感想をお願いします。
更新履歴
(v1.1.1→v1.2.0)
  • 勾配の計算において「管頂接続」「管底接続」「水位接続」の選択ができるように変更。
  • ‘管番号’を「その管が流出する桝番号と同じとする」ことにより作図作業、入力作業を簡素化。
  • ‘計画土被り’の選択において、空白セルでデフォルト参照(最上段のセル)。
  • ‘流入量の集計’に流量を参照することから、最大流入量を元にmin勾配を計算。
  • 「3排水流量a」へリストを参照させて、流量計算。
(v1.1.0→v1.1.1)
  • 備考表示の不具合を修正。
(v1.0.0→v1.1.0)
  • 勾配計算における分母を「管路延長」または「管実長」から選択できるように変更。
  • 勾配計算の小数点以下の桁数のを設定できるように変更
  • check欄の表示内容を具体的にしました。
  • 単一の桝における流入管と流出管各々に土被りの設定が出来るように変更。
  • ドロップ桝及び固定の高さの桝の場合も計算できるように変更
  • ‘in2’シート内で計算した管底における勾配を表示するように変更
  • ‘1リスト’において図面貼り付け文字を表示するように変更。
All rights reserved , Copyright ; Art.Gray.Labo